
はじめに
はじめまして。ミツモアの「ProOne(プロワン)」事業部でプロダクトマネージャーをしている山口です。
プロワンは、フィールドサービスエンジニアリング企業向けに特化したERPサービスです。 営業活動や案件獲得などのフロント業務から、請求書作成・契約管理といったミドルオフィス業務、そして会計連携などのバックオフィス業務までを一気通貫で管理できるのが最大の特徴です。
私はこの中でも、特にミドルオフィス領域の機能開発を中心としたスクラムチームを担当しています。また最近では、AIエージェントを活用した開発効率化や、オペレーション構築にも積極的に取り組んでいます。
今回は、私がPMとして普段の開発業務を行う中で、この半年間注力してきた「情報の一元化」と「一次情報へのアクセス」への取り組みについてお話しします。
目指していること:情報の「伝言ゲーム」をなくす
私たちは現在、「会社の誰もが一次情報にすぐにアクセスでき、そこから自律的な判断ができる状態」を目指しています。 (参考:こちらのnote の思想に共感し、実践しています)
組織が大きくなり役割や部署が分かれると、どうしても「自部署にとって都合の良い形」で情報を切り取って管理してしまいがちです。これはある種、短期的な効率を求めれば仕方のないことかもしれません。しかし、長期的に見ると以下のような「情報のサイロ化」による弊害が発生します。
- 退職者のブラックボックス化: 引き継ぎが不十分なまま社員が退職し、顧客との詳細な会話履歴(一次情報)が追えなくなる。
- コンテキストの欠如: 開発要望だけが独り歩きし、その背景にある「顧客の実際のオペレーション」を把握しているメンバーが他にいない。
必要な情報を個人や特定の部署だけで管理していると、確認のために他者の時間を奪ったり、人づてに聞いた「二次情報」によって事実が歪曲されたりして、正しい判断ができなくなります。
こうした情報分断によるコミュニケーションコストを削減するため、私たちは徹底した情報の一元化に取り組みました。
施策①:Notionによる情報の「一元管理」
Before:ツールが散乱し、コミュニケーションコストが増大
半年前までは、情報ごとにツールがバラバラで、情報の所在が属人化していました。
- テナント(顧客)ごとの開発要望: JIRA
- 開発チケット: Notion
- プロダクトロードマップ: Google Doc
- バグ報告・仕様確認: Slack Workflow Builder
私が入社した当時は、同じような質問に対して何度も回答が必要だったり、ビジネスサイドが開発状況を把握できず顧客へ正確な案内ができない、といった課題がありました。
After:Notionへの集約とAI活用の下地作り
そこで、既に全社的に導入されていたNotionを活用し、すべての情報をNotionへ集約することにしました。ビジネスサイドとの接点をNotionに統一することで、透明性を高める狙いです。 また、当時からNotion AIの導入を見越していたため、AIが参照しやすいデータ構造を意識してワークフローを再構築しました。
現在は以下のような情報をNotionで一元管理しています。
- テナント(顧客)ごとの開発要望
- プロダクトロードマップ
- 開発チケット
- バグ報告や仕様確認
- 開発の意思決定に関わる一部の顧客データ
これにより、「ここを見ればわかる」という場所ができ、情報の透明性が格段に上がりました。

施策②:Devin searchによる「一次情報へのアクセス」の民主化
静的な情報はNotionで解決しましたが、次に課題となるのが「現在の仕様(コードレベルの挙動)」という動的な一次情報へのアクセスです。
プロワンは多機能なERPであるため、PRD(仕様書)を読むだけでは、CS(カスタマーサクセス)メンバーが細かい挙動やエッジケースまで完全に理解しきれない場面が多々ありました。これまではPMやエンジニアが調査して回答していましたが、ここにもAIを活用しました。
CSメンバーがDevinで仕様調査を行う
開発チームでは既にAIソフトウェアエンジニア「Devin」を利用していましたが、これをSales・CSチームにも開放しました。
環境を整備し、CSメンバーが直接Devinに対して「この機能の挙動はどうなっているか?」を質問できるようにしました。これにより、エンジニアのコード(究極の一次情報)に基づいた回答を、非エンジニアであるCSメンバーが自力で得られるようになりました。
取り組みの結果
この半年間の取り組みにより、定性・定量の両面で効果が出始めています。
- 定量的な意思決定が可能に: 開発チケットと顧客データを紐づけることで、「この機能を開発することでどれだけの顧客にインパクトがあるか」を定量的に判断できるようになりました。
- 情報のリアルタイム同期: ロードマップをNotion化したことで、ビジネスサイドが常に最新の開発状況を取得できるようになりました。
- 問い合わせ対応のAI化: 問い合わせデータがNotionに蓄積されたことで、過去の類似事例をNotion AIがトラックし、回答作成を支援できるようになりました。
- 仕様確認の自律化: 顧客からの問い合わせに対して、まずはCSがDevinを使って仕様チェックを行うフローが定着。それでも不明な場合のみPMへ相談が来るようになり、PM・エンジニアの割り込みタスクが減少しました。
今後の展望:AI駆動によるプロセスの変革
データ基盤の一元化と一次情報アクセスの整備は完了しました。現在は、この基盤を活用してさらに以下の取り組みを進めています。
- ビジネスチームの一次情報の正規化・一元管理
- セールスやCSが持つ商談のテキストデータや音声データ、導入支援時のヒアリングデータをリレーションさせます。これにより、開発だけでなくセールスとCS間の連携もスムーズにすることを目指します。
- エージェントによるFAQ運用
- 蓄積された問い合わせデータを元に、FAQの作成・更新を自動化し、顧客への一次回答をAIエージェント経由で実行できる仕組みを構築します。
- AI駆動開発(AI-Driven Development)
- PRDやTRD(技術要件定義書)作成において、仕様変更などをトリガーにドキュメントのベースをAIが作成。考慮事項を網羅的に提示させることで、要件定義のスピードと質を向上させます。
さいごに
情報のサイロ化を防ぎ、AIを活用して本質的な業務に集中できる環境作りは、まだ始まったばかりです。ミツモアが最強の一次情報OSを持った組織にしたいと思っています。
ミツモアでは、AI推進を含め、エンジニアやプロダクトマネージャーなど様々な職種の仲間を積極的に採用しています!
「一次情報へのアクセス」にこだわったプロダクト開発や組織づくりにご興味がある方は、ぜひ気軽に面談しましょう!
採用ページ: https://corp.meetsmore.com/