こんにちは、株式会社ミツモアで、プロダクト本部長をしつつ、全社の AI 推進も対応している白柳 (@yanaemon169) です。
当社では「日本のGDPを増やし、明日がもっといい日になる、と思える社会に」というミッションを掲げていますが、まずは自らの生産性向上から始めるべく、7月から全社的な AI 推進に取り組んでいます。
以前 AIネイティブな組織への道 という AI に関する取り組みの記事を公開しましたが、今回は具体的にミツモア内でどのように体制を作り、どのように進め、どんな成果を得たのか、その過程で得た学びを紹介します。
ミツモアの組織構成
まず前提として、ミツモアには大きく3つのプロダクトがあります。
これらの事業本部を横断する形で、マーケティング本部とプロダクト本部が存在し、さらに共通機能として、管理本部、人事本部があります。
これら全体の AI 推進をすべく、8月ごろからプロダクト本部内に全社横断対応する AI 推進グループを発足しました。
非エンジニアの AI 推進リーダーとエンジニア数名のスモールな体制で現在推進を行っています。
スタートアップとしての戦略
AI 推進を始めるにあたり、私たちはひとつの問いを立てました。
「今ある業務を AI で自動化するだけで、本当に意味があるのだろうか?」
単純な自動化は、あくまで現状の延長に留まります。ミツモアは「日本のGDPを上げる」というビジョンを掲げています。そのためには、もっと大きな価値を届けることにフォーカスしなければならない。だからこそ、まず全体をしっかり把握してから見直しを行うというアプローチを取ることにしました。
大企業に比べて今の規模は小さいです。スタートアップならではの動きで、様々なチームへのヒアリングや業務把握を行いながら進めました。
体制構築の考え方
理想を言えば、各事業本部にエンジニアを配置して AI 推進を進められればベストです。しかし現実には、スタートアップにおいて全事業本部・全チームにエンジニアを配置することは難しいです。採用の課題もあれば、リソースの問題もあります。
そこで下記のような体制を取りました。
- 全社に AI 推進グループを設置
- プロダクト本部内にも AI 推進グループを配置
- 各事業本部には AI 推進担当者を配置し、コミュニケーションを確保
今後は、採用状況に応じて重要な事業本部にエンジニアを入れていきたいと考えていますが、ファーストステップとしてはこの体制でスタートしました。
トップダウンとボトムアップ、両方のアプローチ
当初はボトムアップで現場課題をヒアリングしながら進めましたが、他の業務で忙しく時間が取れないというチームも多々あり、素早く進めるのには限界がありました。
そこでトップダウンでも明確に依頼し、全社に周知しました。スタートアップは特にこの両軸の実行を素早くできるので同時並行で推進しました。

トップダウン
- 評価制度との接続: ミツモアには「テクノロジーでシンプルに」というバリューがありますが、このバリューを AI 活用の評価軸に組み込み
- 単純に、AI によって今の業務をそのまま置き換えるのではなく、業務全体を改めて整理し、AI を前提として業務フローを置き換えられないかなどを検討
- 業務効率化の観点を持ってもらうよう働きかけ
- 全体内容共有や依頼事項のチーム展開
- 後述の業務棚卸しの対応などを担当を決めてもらい、依頼事項を展開してもらいながら素早く進められるように
ボトムアップ
各事業本部に担当者を置いてもらい、まず全業務の棚卸しを行ってもらいました。今行っている業務を Notion データベースにリストアップしてもらいました。
一方で、この業務リストには限界があります。
- 人によって粒度にばらつきがある
- 本来は改善すべき業務フローなのにリストに入っていない
そのため、このリストを単純に戦略の基盤にするのではなく、「どのあたりを改善すると大きなインパクトが出そうか」という勘所を見つけるための情報として活用しました。詳細が明確で即効性のある改善については、並行して進めていきました。
3つの柱:教育・基盤・能動的サポート
AI 推進として取り組んだことは大きく3つあります。
1. 教育:AI スキルレベルの底上げ
成熟度モデルを活用して5段階のレベルを定義し、チームや個人のレベル感を可視化しました。レベルに合わせた活用セミナーを開催し、全社的なスキル向上を図っています。
2. 基盤:AI 活用基盤の整備
社内用 Dify を構築しメインのワークフローツールとして利用しています。その使い方を全社に展開しました。ワークフローの作成サポートも実施し、誰でも AI を活用できる環境を整えています。
- Notion, Google Drive, BigQuery : 情報の集約
- Dify, Zapier : Chatbot や Workflow ツールとしてメインで利用
- Zapier は Dify で対応しきれない Webhook などのために補助的に利用
- Claude Code : より柔軟な AI Agent を作りたい時に利用
3. AI 推進チームの能動的サポート:インパクトの大きい領域への集中支援
全事業本部を平等にサポートすることは現実的に不可能なため、全業務の棚卸しの情報をもとに改善インパクトを算出し、インパクトの高い事業本部に対して集中的にサポートを行っています。
目指す方向性
AI 推進チームの対応として主にプロワンプロダクトと人事関連のフローを対象に改善を行っています。これらの改善をするにあたり、中心となる情報がそれぞれ異なります。プロワンであれば顧客が中心に、人事関連であれば従業員が中心に捉えます。
そのため、両者の情報整理は共通点が多い一方で、異なる点もあります。よく Salesforce と Rippling が対比されることがありますが、まさにそのような顧客中心の情報整理(例: Salesforce)と従業員中心の情報整理(例: Rippling)の対比に近い考え方です。

この構想をもとに、中心データの基盤整理に注力しています。この情報がうまく整理できれば、その情報を利用した効率化はプロンプトや AI Agent の活用で素早く改善できると考えています。
現在地とこれから
取り組みを開始してからまだ間もないですが、いくつかの業務ではすでに大幅な自動化などを実現できています。
詳細な改善内容については、また別の記事で紹介できればと思います。
まだ取り組みとしては初期段階です。ここからさらに加速して、より大きなインパクトを出せるよう常にアップデートしながら進めています。
さいごに
スタートアップが全社 AI 推進に取り組む中で、体制構築、トップダウンとボトムアップの両立、そして教育・基盤・サポートの3つの柱が重要であることを学びました。今後もこの取り組みを加速させていきます。
ミツモアでは AI 推進担当者 含め、様々な職種の仲間を積極的に採用しています! ご興味がある方はぜひ気軽に面談しましょう!
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